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2008年1月26日 (土)

暗闇の話

人には暗闇の時間がなくちゃいけない。
そんなことを時々思う。

私の毎日の通勤路には大きな橋がある。
堂島川と土佐堀川が一緒になった大川。ここに架かる「源八橋」。
ここは桜の名所で、春になるとこの川沿いには桜が咲き乱れる。夏には新緑がすごくさわやかで、秋には紅葉だって見ることができる。冬は枝ばかりになって少し寂しいのだけれど。天気のいい日は川を覗き込めばたくさんの亀が泳いでいるのが見える。橋のすぐ下には少し突き出した川岸があって、昼間にはそこでおっちゃんが釣り糸を垂れていたり、簡易テーブルを置いて屋外マージャンを楽しんでいる場合もある。

朝。

毎日、毎日同じような時間に歩くその景色の大きな変化は、目で季節を感じさせてくれるし、何より大きな川があるということは空が広く見える。それが好きで本当は少しだけ遠回りなんだけど、私はその道を歩く。

夜。

橋からの景色は明るいときとは別物になる。昼間に見えていた季節の景色は消えて、その代わり目の前がオレンジ色の街灯の光に包まれる。
視線を川に向けると、大きくぽっかりと暗闇。川面に映る明かりがユラユラしてはいるけれど。ぽっかり黒い。
視線をもっと遠くにやるとそこには高層ビルの灯り。そして、明かりに照らされて浮かぶ大阪城が見える。
私はこの景色がたまらなく好き。
大阪城は高層ビルの谷間で本当に本当に小さい。
クリスタルのボックスのような高層ビルに挟まれて歴史博物館のミニチュアのようにそこにある。それでもシャンとして見える。いつもいつも。いつもいつも。
大阪城は過去の現実。高層ビルは今の現実。どちらからも人の「動」が感じられて、両方が一緒に佇むからこそ、この景色が好き。
そして視線を上に向ければ空があったはずのそこは暗闇。時々月。

暗闇を堪能する。
橋を渡りきってしまうまでの2、3分。この短い間に色んなことを想う。この暗闇の時間は、悔しくて唇を噛んでても、嬉しくてちょっとニヤケてても、悲しくて涙を滲ませてても・・・どんなカオをしていてもいい時間。   時々「さて。」と思う。

橋を渡り終えたらそこはもう駅だ。駅は明るい。まぶしいくらい白く明るい。電車の中はもっともっと明るいから。全部が白々しく露になるみたいに思えてスッと引っ込んでしまうものがある。
試しに電車の中で立ったまま目をつぶってみた。でもやっぱりまぶたが明るさを感じてしまって、暗闇。にならなかった。残念。

地元の駅について自転車置き場に向かう。私の自転車置き場は階段を上がった見通しのいい場所にあって、昼間なら空がたくさん見える。まだ明るい夕方なら夕焼け空が最高にキレイだし、六甲山も見える。
そこはちょうどホームから線路を間に挟んだ真正面になる。高さは線路と同じくらい。私は暗闇のその場所から、明るいホームを眺める。これから帰ろうとしている人たちを眺める。そして先に続く線路を眺める。そこに立つとまた色んなことを想う。ここでも時々「さてさて。」と思う。

暗闇ってイメージの悪い言葉かもしれないけれど、暗闇の中でヒトは素直になる。と私は思う。暗闇の中で育つ気持ちもある。「暗闇とオレンジ色の光」そんな空間の大切さってあると思う。

夕方以降の電車の車内がもっと暗くなって、オレンジ色の電気が灯ったら。
きっともう少しみんな、やわらかなカオになるだろうなぁ。

BGM:valon/salyu

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コメント

☆mayo
そうだよね、暗闇にあるから初めて光の存在を意識するというか、あったかく見えるよね。そう思うとやっぱり暗闇って大切なんやなぁって思ったり。
子どもの頃からそういうのをじーっと見つめるのって、絶対に本能に訴えるものがあるんだろうなって私も思います。

投稿: pb | 2008年1月31日 (木) 01時05分

全く光のない暗闇は怖いけど、
ほんのちょっとの光があるだけで
すごくあたたかい空間になるような気がする

だから暗闇のなかのろうそくの炎とかって好き

子供もよく暗い中の豆球とか、ケーキのろうそく
すごーく嬉しそうな顔でみてるよ

本能でなにか暖かさみたいなの感じるのかな??

投稿: mayo | 2008年1月29日 (火) 21時22分

☆とくふうちゃん
コメントありがとうね。私も時々日記覗かせてもらっているよ♪
そうだねぇ、ヒトは元々暗闇から生まれてきたというのは私もすごく共感するよ。大きなところでの人間もそうなのかもしれないし、少なくとも体内にいるときのヒトだって視覚以外の感覚で色んなことを感じ取ってきているはずだしね。だから暗闇が安心する。。。全くその通りだと思います。

「物理的な暗闇」も「目に見えない暗闇」も、正体がナンだかわからないうちはちょっと怖いけど、本当は自分がどんなカオをしてもいいよっていう優しい場所なんだと思うよ。

暗闇を感じられる、その感覚があるってことが素敵なことだね。

とくふうちゃんの毎日の日記、陰ながら楽しみにしてるよ☆

投稿: pb | 2008年1月27日 (日) 12時40分

人間は暗闇から生まれた。って思います。
だから、暗闇ってある意味懐かしいところなんでしょうね。

人生の暗闇も、心の暗闇も、その人にとっては帰るべき場所のような気がします。

そんなことに気づかせてくれて、ありがとう。

投稿: とくふう | 2008年1月26日 (土) 21時54分

☆イデちん
お久しぶりです!コメントありがとう。

こんなのやっていたんですね!早速見てみました。すごく共感です、本当に。。。

「暗闇」は10数年前に行った直島の角屋が初めての体験でした。あれは本当に衝撃的な体験で、それ以来かなぁ、「暗闇」は暗く、怖い面を持つ反面、優しく寄り添う大切なものになった気がします。

今、時々「作ること」をしていて、純粋に自分のことを表現するものを作ろうとするときに「色=彩」を大切に想うと同時に必ず「黒」が必要だとも感じるのも、今思えば不思議なものです。

今年も2007と同じような時期にやるのかなぁ。。すごく行ってみたい展覧会です。気にしておかなくちゃ。教えてくれてありがとう☆

イデちんこそ、こんな時間まで起きていてwお体壊さないように気をつけてくださいね。

投稿: pb | 2008年1月26日 (土) 10時54分

お久しぶりです、われもこうはん。イデちんです。
東京で毎年おこなわれている「DIALOG IN THE DARK」は、似たような気持ちが背景にあるかもしれませんね。

寒いので、くれぐれもご自愛のほどを。

投稿: イデちん | 2008年1月26日 (土) 03時36分

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